
知的財産権って何?
「知的」とは、知恵や思考、興味関心など人々の頭の中にあるものを指します。
「財産」とは、価値のあるものという意味です。
つまり「知的財産」とは、人々の頭の中にある知恵やアイデアのうち価値があるものということになります。
知恵やアイデアに価値があると言っても、あまりピンときませんね。具体的に考えてみましょう。
アイデアが価値を生むということ
たとえば世の中のあらゆる音楽には、それぞれ一つひとつに楽曲として作り上げた作曲者がいたはずです。それは世界的に有名なアーティストかもしれないし、歌うことが好きな子供かもしれません。
誰が作ったものかに関係なく、作曲者にとって、色々なメロディのアイデアや自身の感情を詰め込んで作り上げた楽曲は間違いなく特別なもので、守るべき価値を感じることでしょう。
つまり、楽曲というアイデアの塊は、その人にとってかけがえのない財産ということになります。
他の例を考えてみましょう。
とあるエンジニアがある日、「手のひらサイズで持ち運べる電話機があれば便利だぞ」と考えました。開発を始めて何度も試行錯誤を繰り返し、数多くのアイデアやノウハウが生み出されていきました。
そうして完成した携帯電話は世界中に広がり、私たちの生活を豊かにしました。
これも、携帯電話を完成させるためのアイデアやノウハウが、様々な付加価値を生み出したと言えます。
アイデアとは、価値を生み出す立派な財産なのです。
知的財産「権」とは
知的財産権とは、知的財産を保護するための法的な権利です。
主な知的財産権には次のようなものがあります。
- 特許権、実用新案権
- 発明やアイデアを保護する権利
- 意匠権
- 製品や建物などのデザインを保護する権利
- 商標権
- 商品名やブランドロゴなどのトレードマークを保護する権利
- 著作権
- イラストや音楽などの創作物を保護する権利
特許権・実用新案権・意匠権・商標権は、産業の発展に貢献する財産ですので、まとめて「産業財産権」とも呼ばれます。
知的財産権でできること



知的財産権はその種類によってできることが異なりますが、共通しているのは「そのアイデアを独占できる」という点です。
知的財産権で保護されるものは、権利者にその知的財産を独占できる権利が与えられ、第三者の無断利用に対して侵害行為の差し止めや罰則を科すことで他人に真似されることを防いでくれます。
知的財産権を取得するには
知的財産権を取得する方法もその種類によって変わってきます。
創作物を保護する著作権は、権利を得るために特別な手続きは必要なく、完成と同時に権利が自動的に発生します。このようなルールを専門用語で「無方式主義」と言います。
一方、特許権などの産業財産権は特許庁へ権利を得たい旨の出願が必要で、特許庁に認められて初めて権利化することができます。これを「方式主義」と言います。
さらに審査の内容がそれぞれの権利で異なっており、たとえば、実用新案権は正しいフォーマットで記載されているかどうかのチェックだけですが、特許権は書かれている内容について特許法で定められた要件を満たしているか厳しく審査されます。
まとめ



- 「知的財産」とは、人々の頭の中にある知恵やアイデアのうち価値があるもののこと
- 「知的財産権」とは、知的財産を守るために法律で定められた権利
- 知的財産権には、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などがある
- 著作権は権利が自動発生する「無方式主義」
- 特許権など産業財産権の権利化は特許庁に出願が必要な「方式主義」
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